top of page

スーツの裏地の種類と特徴|見えない部分で差がつく大人の装い

  • 執筆者の写真: Jillvas 日向
    Jillvas 日向
  • 10月16日
  • 読了時間: 6分

【はじめに】


スーツを選ぶとき、「生地の柄や色」は意識しても、

裏地までこだわる方は意外と少ないかもしれません。


しかし、裏地は着心地・通気性・シルエット・高級感に大きく関わる重要なディテール。

同じスーツでも、裏地次第で「軽さ」「通気性」「上品さ」がまったく異なります。


「本当に上質なものは、見えない部分まで美しい」

― イヴ・サン=ローラン ―


この記事では、スーツの裏地の種類と特徴を分かりやすく解説し、

季節や目的に合わせた最適な選び方のポイントを紹介します。


この記事でわかること

 • スーツの裏地の主な種類とそれぞれの特徴

 • 季節や用途に合わせた裏地の選び方

 • 裏地に使われる代表的な素材とその違い

 • Jillvasが提案する裏地選びのこだわり

Dormeuilのフォーマルジャケットにゴールドのブランド柄裏地


【スーツの裏地とは】


裏地とは、ジャケットやパンツの内側に縫い付けられた布地のこと。

着心地を良くするだけでなく、スーツ全体の構造を安定させ、シルエットを保つ役割も果たします。


また、裏地は汗や摩擦から表地を守る“盾”でもあり、

適切に選ぶことでスーツの耐久性と快適性を高めることができます。



【裏地の種類と特徴】


スーツの裏地には、縫製の仕方によって3つのパターンがあります。

それぞれの特徴を理解することで、着用シーンに合わせた選択が可能になります。


● 総裏(フルライニング)

ジャケットの内側全体に裏地が施されたタイプ。

保温性が高く、フォーマルや冬用スーツに適しています。


メリット:表地がシワになりにくく、シルエットが整いやすい

デメリット:通気性が低く、夏はやや蒸れやすい

定番の総裏仕様のスーツジャケット。

● 背抜き(ハーフライニング)

背中部分の裏地を省き、肩〜腰までに留めた仕様。

軽量で通気性が良く、春夏スーツによく用いられます。


メリット:軽くて涼しい、動きやすい

デメリット:表地がシワになりやすい

背抜き仕様のスーツジャケット。背中中央と脇にのみ裏地を残した軽やかな仕立て

● アンコン(裏地なし)

イタリアのナポリ仕立てに多い、裏地をほとんど使わない軽量構造。

柔らかく自然なシルエットを演出します。


メリット:軽くてリラックスした印象

デメリット:裏地がない分、型崩れしやすい

アンコン仕様のスーツジャケット。裏地のない軽量仕立てで、表地がそのまま内側に現れる構造


【裏地素材の種類と特徴】


裏地に使用される代表的な素材には以下のような種類があります。


● キュプラ(ベンベルグ)

高級スーツで定番の裏地素材。コットン由来の再生繊維で、滑らかな肌触りと通気性が魅力。

静電気が起きにくく、吸放湿性にも優れています。


おすすめ用途:ビジネス・フォーマル全般


● ポリエステル

耐久性が高く、コストパフォーマンスに優れた素材。

通気性と滑りが悪い・毛羽立ちやすいといったデメリットがありますが、光沢があり発色の良い裏地として人気です。


おすすめ用途:カジュアルスーツや普段使いの1着


● ビスコース

レーヨンと同じく再生セルロース繊維の一種で、柔らかくドレープ性に優れた素材です。

欧州ブランドのスーツ裏地では頻繁に使用されており、キュプラと比べてややコシがあるのが特徴。

発色性が高く、鮮やかな裏地デザインにも適しています。


おすすめ用途:ファッショナブルなスーツ


● シルク

天然繊維の中でも最高級。

滑らかで上品な艶があり、フォーマルスーツやタキシードに最適です。


おすすめ用途:礼装・ウェディング



【シーン別・季節別の裏地選び】


シーン/季節

おすすめ裏地タイプ

理由

ビジネス・秋冬

総裏 × キュプラ

保温性・耐久性・快適さのバランスが良い

春夏

背抜き

通気性と軽さを重視

カジュアル

アンコン/背抜き×ビスコース

軽く、リラックスした印象に

フォーマル

総裏 × キュプラ・シルク

艶と高級感で品格を演出



【裏地の色・柄選びと印象の違い】


裏地はスーツを脱いだときに最も印象を与えるパーツのひとつです。

素材だけでなく、色や柄の選び方でも大きく雰囲気が変わります。


● 無地(ソリッド)

最もベーシックで万能なタイプ。

ネイビー・チャコール・グレーなど、スーツの表地に近い色を選ぶと統一感が出ます。

クラシックで落ち着いた印象を重視するビジネススーツに最適です。


🪡 ポイント

無地でも素材に光沢があると、角度によって上品な艶が生まれ、さりげない高級感を演出できます。

Loro Pianaのジャケットに艶やかな無地の裏地

● ペイズリー

イタリアや英国のサルトリアに多く見られる定番柄。

クラシックでありながら華やかさを兼ね備え、大人の遊び心を感じさせます。

ジャケットを脱いだ瞬間の“チラ見え”で個性を主張できる柄です。


🪡 ポイント

ネイビー×シルバー、グレー×バーガンディなどの落ち着いた配色ならビジネスにも◎。

Dormeuilのスーツにエレガントなペイズリー柄の裏地

● ドット(小紋柄)

控えめで上品なアクセントを与える人気柄。

小さなドットは可愛らしさよりも洗練された都会的な印象を与えます。


🪡 ポイント

黒やネイビー地にホワイトドットは定番。

裏地だけでさりげなく英国調を取り入れたい方にもおすすめ。

Ermenegildo Zegnaのスーツに洗練された都会的な印象を与えるドット柄の裏地

● 絵柄(プリント)

動物・花・幾何学模様など、より自由なデザインを楽しめるのがプリント裏地。

派手な色や絵柄を取り入れることで、自分だけの個性を表現できます。


🪡 ポイント

フォーマルには不向きですが、カジュアルスーツやジャケットで“魅せる裏地”として人気。

遊び心を表現したい方や、オンオフ兼用スーツに最適です。

Aristonのスーツにカラフルな都市風景柄が個性を演出するプリント裏地

● ストライプ・チェック

クラシックな中にもリズム感があり、動きのある印象を与えます。

特に裏地のストライプは英国調の象徴とされ、歴史あるテーラーにも好まれます。


🪡 ポイント

表地が無地の場合、裏地にストライプやチェックを合わせると構築的でバランスの良い印象に。

多彩な千鳥格子の裏地

● 色選びのポイント(トーン別)

トーン

印象

おすすめ用途

同系色(例:ネイビー × ネイビー)

統一感・フォーマル

ビジネス・礼装

補色(例:グレー × ボルドー)

個性・高級感

大人のドレススーツ

明るめ(例:ベージュ × ブルー)

軽快・華やか

春夏スーツ・カジュアル

暗め(例:ブラック × パープル)

落ち着き・艶感

秋冬スーツ・ナイトシーン


豆知識として、イタリアのサルトでは「裏地は男の秘密」と呼ばれ、

“脱いだ瞬間に個性が出る部分”として特別に扱われています。



【Jillvasの裏地提案】


Jillvasでは、スーツの裏地選びを「個性と快適さの両立」と考えています。

 • 高級素材キュプラを中心に採用

 • 裏地の色味と柄をお客様の用途や職業に合わせてご提案

 • 内側まで美しく仕立てることで、脱いでも映えるスーツを実現


裏地を単なる「内布」ではなく、

スーツ全体の完成度を高める“仕立ての一部”として大切にしています。



【まとめ】


スーツの裏地の種類と特徴を理解すると、

季節・用途・好みに応じて「より快適で上質な一着」を選ぶことができます。


見えない部分にこそ、仕立ての美学が宿る。

それが本物のオーダースーツの魅力です。


Jillvasでは、裏地の選定から仕立てまで丁寧にご提案し、

お客様の“内側から美しい一着”をお仕立ていたします。




コメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

評価を追加

bottom of page